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魔王を祀る神社がある

 南都留郡鳴沢村には、「魔王天神社」という名の恐ろしい名前の神社があります。地域の方々は、この神社を「魔王さま」「オダイローサマ」と親しみを込めて呼んでいます。この地域の方々が魔王を崇敬しているといっても、いわゆる「悪魔崇拝」とはまるで違うのでご安心ください。

 一般的に悪魔崇拝というと、キリスト教的世界観の中で現れた「サタン」への信仰を指しますが、実は仏教やイスラム教の中にも悪魔は存在します。日本において「悪魔」という言葉は、様々な宗教で現れる悪魔の他に、民俗信仰の中でも用いられます。そこでは、悪魔とは厄災をもたらす元凶とされ、忌み嫌われます。

 さて、「魔王」というと「悪魔や魔物たちの王」というイメージではないでしょうか?キリスト教において、魔王とはサタンのことであり、堕天使となったルシファーを指します。しかし、日本ではサタンとは全く異なる、仏教的世界観の中での「魔王」が、古くから受け継がれているのです。

 日本で「魔王」というと、仏教的世界観で語られる「第六天魔王」のことを指します。地獄の王なのかと思いきや、むしろ逆で、天界の中でも欲にとらわれのある6つの天界「六欲天」の主のことなのです。仏道を究めようとする修行者を邪魔する仏敵でありながら、最終的には仏教の守り神となりました。

 この神社には、本殿がありません。魔王の山を信奉するという非常に古い形式の信仰を保っている珍しい神社です。第六天魔王を信仰する神社ですが、明治時代の廃仏毀釈の中で「仏教的な神である第六天魔王を信仰してはならない」と圧力がかかるも、社名を変えることなく通してきた全国でも珍しい神社なのです。

 現在、祭神は経津主命(ふつぬしのみこと)とされています。剣の神であることから、境内には刀剣が数多く奉納されています。

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