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日本で山梨にだけ存在する漢字がある

山梨県には「垈」という見慣れない漢字を使う地名が多いことをご存知でしょうか?そもそも「垈」をどう読んだらいいのでしょう。正解は「ぬた」。

甲斐市の大垈、韮崎市の相垈、市川三郷町には、そのものずばりの垈とか下垈、富士川町には砂垈という地名もあります。こうしてみてみると、別になんとも珍しい地名とは感じられません。しかしそれはとんでもない間違いなのです。

日本で「垈」の地名がついているのは、山梨県だけ。しかもなぜか山梨県にだけ、5箇所も6箇所も「垈」のつく地名があるのです。「垈」をめぐる、ただごとではない状況がお分かりいただけるでしょうか。

 「垈」は、地名以外に使われている例がみられない、謎に満ち溢れた漢字です。かつて国内標準であった日本工業規格JISには、漢字の規格もあります。僕たちがパソコンで入力すると出てくる漢字もJIS規格に沿っています。1978年から整備が始まったJISの第1第2水準漢字。これによってワープロやパソコンなどで、様々な漢字が利用されるようになります。ところが、利用され始めてから、ある不思議なことが明らかとなります。

 漢字として「形」が存在するのに、その意味が漢字辞典にも載っていないという摩訶不思議な文字が、なんと60ちかく発見されたのです。この謎の漢字は、「幽霊漢字」とか「幽霊文字」と呼ばれました。

 では、そもそも「垈(ぬた)」とはどんな意味なのでしょうか。垈(ぬた)とは、沼と田が組み合わさってできた地名漢字だと考えられています。沼地を田んぼに土地改良した場所というわけです。

 こうして考えてみると、「ぬた」という同じ読みの地名は、全国各地で見つけることができます。例えば、広島県三原(みはら)市には、「ぬまた」と書いて「ぬた」と読む地域があります。この地区は沼が点在する湿地帯でしたが、16世紀に大規模な干拓が行われたことで、豊かな穀倉地帯に生まれ変わりました。このほかにも、千葉県君津(きみつ)市には、「怒る」に「田」と書いて「ぬた」と読む地域があります。この地域には、「昔、沼に棲む大蛇が村人を食い殺して悪さをしていた」という昔話が伝わっています。昔話から、ここが人々を悩ませる沼地だったということが想像できるのです。

 ともかく、垈(ぬた)という漢字は、日本の中では山梨県内でしか使用されていない超貴重な文字です。しかし、世界に目を向けてみると、「沼」のような意味ではないものの、中国や韓国、ベトナムの古い書簡にこの文字が残っているそうです。

 ちなみに、垈という文字に似た漢字があります。「岱」は「たい」と読んで、山の上にある湿地帯のことを指します。この「岱」はなぜか様々な場所で使われていて、東京都の東村山市では、大岱(おんた)小学校という校名が残っていたり、秋田県の北秋田市では国指定の「伊勢堂岱(いせどう たい) 遺跡」という史跡があります。

 しかし、なぜ同じような字で、同じような意味なのに「垈(ぬた)」は山梨県だけに集中して生き残っているのでしょうか。この理由を教えてくれる本が見当たらなかったので、僕独自で考えてみました。

 僕は、山梨に「垈(ぬた)」の文字が大切に残されているルーツが、1300年以上昔の「ある国際情勢」に秘められているのではないかと考えています。
歴史の舞台は、古代朝鮮で起きた戦争「白村江の戦い」です。

 日本は当時「倭国」と呼ばれており、「大和政権」が支配している時代です。日本は友好国の百済を助けるため、強敵である唐・新羅連合軍に立ち向かいます。しかし、この戦争で日本と百済は破れ、百済は滅亡してしまいます。百済や隣の高句麗の人々は土地を追われることになりますが、大和政権は彼らを日本に受け入れる決断をします。この時、甲斐国にも大規模な移住が行われました。

 つまり、古代朝鮮から受け継いだ「垈(ぬた)」という文字が、1300年経った今でも山梨県に残っているのではないかと考えられるのです。
このように考えるのは、他に確からしい研究が発表されているからです。山梨には、全国的に珍しい「○○丸」という名前の山が非常に集中している事で知られています。

 例えば、大蔵高丸、本社ヶ丸、コンドウ丸など、「なになに山」という名前ではなくて、「なになに丸」という山が、なぜか大月市周辺に集中しているのです。古代朝鮮語の研究によって、山のことを「モリ」とか「マレ」とか「ムレ」と呼んでいたことが分かっています。どうやらこの古代朝鮮語が「マル」と訛って「丸」となったと考えられているのです。

 このように、古代朝鮮語が、西湖のクニマスのように、山梨県だけで、ひっそりと生き続けてきたのではないかと考えられるのです。前にお話しした通り、「垈(ぬた)」の文字は韓国の古い書簡にも見られます。「丸」の読み方と同じように、「垈 (ぬた)」という漢字は、まるで生きた化石のように今でも山梨に存在しているのだと考えられないでしょうか。

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