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日本で山梨にだけ存在する魚がいる

テレビで大きな話題となったので、よくご存じでしょう。日本で山梨にだけ存在する魚とは、クニマスです。クニマスは他のマスと比べると、比較的黒っぽいのが特徴です。

クニマスは、秋田県の田沢湖でしか見られない「固有種」でした。田沢湖は、日本で最も深い湖として知られています。田沢湖にある金色の像は、この湖の伝説に登場する「たつ子」の像です。美しい娘だった「たつ子」が龍になってしまうのですが、たつ子の母は、やがて娘が龍になったことを知ります。たつ子の母が松明にした薪を投げ入れると、それが魚に化けて泳ぎ出しました。

この時に投げ入れられた薪は燃えて炭になったため、この時に生まれた魚の色も黒くなったのだそうです。これがクニマスです。薪のことは「木の尻(しり)」とも言いますので、クニマスはキノシリマスの別名があります。

クニマスの卵は、長野、富山、そして山梨に分けられました。山梨においては本栖湖と西湖で移植が行われました。田沢湖ではクニマスが絶滅してしまい、移植が試された地域でも繁殖されることなく、クニマスはなぜか西湖でだけ生き残っていました。これはどうしてでしょう?

クニマスヒメマス湖

実は、クニマスはサケ属の中では非常に珍しい魚です。一生を湖の中で過ごすサケ属の魚は、身体が黒っぽい「クニマス」と、銀色っぽい「ヒメマス」の2種類だけです。生態や姿は似ていますが、ヒメマスは秋に湖の比較的浅い場所に産卵します。

それに対し、クニマスは冬から春の始めにかけて、水深30m以下の深い場所に産卵します。サケの産卵をイメージしていただければ、クニマスの生態がいかに独特か、お分かりいただけると思います。

つまり、西湖でクニマスが生きてこれた理由のひとつは、もともと住んでいたヒメマスとの共存がうまくいったという点が挙げられます。

第2に、日本一深い田沢湖に近い環境、つまり、富士五湖の中でも2番目に深い湖だったという点が大きく影響しています。

第3に、独特な地下水脈が挙げられます。水質調査により、実は西湖の水源は、バナジウムたっぷりの富士山からのものではなく、御坂山地からの水が、湖の水深数十メートル付近で湧き出していることが分かっています。これらの奇跡的な環境が、クニマスを絶滅から救ったのです。

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