Skip to content

日本で山梨にだけ存在する神様がいる

 笛吹市の「山梨岡神社」には、日本でここでだけ祀られている神様がいます。その名前は「夔(キ)」。その姿は、鹿とかヤギっぽくて1本脚。神様というよりも、神獣というか、妖怪のような雰囲気です。

 「夔の神」のルーツを辿ると、今から3000年以上前の古代中国「殷(いん)」の時代にまで遡ります。「夔の神」が初めて登場するのは、古代中国で最も古いとされる地理書である「山海経(せんがいきょう)」という書物です。もともとは龍神(りゅうじん)の一種として信仰されていたようです。

 1本脚なので、少しか弱いイメージですが、山奥に住んでいて、水に入ると嵐を引き起こし、雷のような鳴き声をするのだそうです。伝説では、古代中国の皇帝がこの「き」を捕らえて、その皮で太鼓を作り、雷獣の骨で叩いたところ、その音が500里先まで響き渡ったのだそうです。それにしても、なぜ山梨岡神社で、この古代中国の「夔の神」が祀られているのでしょうか。

 山梨岡神社の祭神は、山の神である大山祇神(おおやまつみのかみ)、水の神である高龗神(たかおかみのかみ)、雷の神である別雷神(わけいかずちのかみ)です。これらの神々から、地域の人々が山の恵み、水の恵みへの強い願いを持っていたことが分かります。

実は、「夔の神」は先ほどの神々と完全にリンクしています。はじめにお話しした通り、「夔の神」は山奥に住んでいて、水に入ると嵐を引き起こし、雷のような声で鳴くという神です。古い文献から、初めて「夔の神」のことを知った昔の人は、「うちの神社にピッタリだ!!」と声を上げて喜んだことでしょう。

 さらにもうひとつ、おもしろい共通点があります。次は(クリック)高龗神の「漢字」に注目してみましょう。この神についている「龗(おかみ)」という漢字は、「雨」と「龍」が一体となっているのです。つまり、高龗神と「夔の神」は、ともにルーツが雨をもたらす「龍神」だと考えることができるのです。これらが、山梨岡神社と「きのかみ」を結びつける深い共通点です。

 しかし、なぜ日本中で山梨岡神社にだけ「夔の神」が祀られているのでしょうか?今となっては本当の所は分かりません。しかし、僕はこのような仮説を持っています。実は、昔は全国で点在していた「夔の神信仰」が、ある時代にほとんど絶滅し、まるで西湖で生き残っていたクニマスのように、山梨県だけでひっそりと生き続けてきたのではないか。こんな風に考えています。

Published in未分類